そのとき、僕は舞台の上から営業所のメンバーひとりひとりの名前を呼んで「ありがとう」の言葉を伝えた。
全社員集まっての忘年会で、その年の「社長賞」が僕に授与されたのだ。
僕は当時、ある会社の営業所にいて、営業部のリーダーをしていた。その年の春に入社した新人を中心に構成された営業部だった。
そして、その半年近くの間、他の営業所はもちろん、本社営業部にも大きな差をつけるほどの実績と、なによりも僕の一番求めていたものを創り上げることが出来ていた。
「やればできる」なんて言葉はよく耳にするものだけど、それを実感できたし、心から信じられていた。誇りと自信にも満ちていた。
出来ないことは何も無いと理解っていたし、それは誰にでも起こし得ることだと確信していた。
自分にも、誰にでも可能性が溢れていると未来を信じることが出来た。
無敵の感覚すら覚えていた。
でも、それまでの僕は『 へなちょこ 』だった。
『 へなちょこ 』の僕が大きな成果を創り、百人ちょっとの会社とは言え、年間のトップになる。
・・・これはちょっとしたサクセスストーリーだ。
映画なら、ここらでエンドロールが流れて「めでたし、めでたし」となるラストシーンだ。
しかし、人間は「なまもの」だなって思う。
気を抜いて怠けると、臭気を放ったり、腐ったりする。
気持ちが折れたり、行き先を見失うと、小さなことさえ何も実現できなくなってしまう。
僕はその社長賞をもらってから、数年後には『 へなちょこ 』どころでなく、くだらない奴に成り下がった。
そして今、また楽しく頑張れる自分がここにいる。
楽しく頑張れるが、まだまだ、あの頃ほどの成果を成し遂げていないと感じる。
あの時ほど、周りの人間を幸せにしていないとも思う。
今もう一度、自分でもわくわくと震えるようなことを起こそうと思う。
「今までのこと」のカテゴリーでは、僕の『 へなちょこ 』を振り返りながら、新しい成果をしっかり掴むキッカケにしようと思う。
人間は『 現在 』にいきる生き物だと思う。
「今ここ」を「明日」に繋いでいく生き物だと思う。
過去の栄光みたいなものにすがる様になると、きっと心も体も老いて行くんじゃないかな。
だから僕は、ある意味、ここで過去を晒して、過去に決別をしようと思う。
ちょっと矛盾してるように聞えるかも知れないけれど。
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